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最近、職場の「いじめ・嫌がらせ」についてのご相談が、非常に増えてきております。職場の上司や同僚からの「いじめ・嫌がらせ」が「パワハラ」ではないかとして、司法や行政の力により上司や会社を指導して欲しいとか、是正や処罰をして欲しいといった内容の相談です。ただ本当に問題を解決したいのであれば、第三者の力に頼っていてはダメなのです。なぜなら、子供のけんかに親が口を出しても、解決しないことと同じだからです。厳しいようですが、職場の中で起きている問題は、職場の中の人間にしか解決することができないのです。
ただし、自分の心と体の健康が脅かされ、安全が確保できない場合には話は全く別になります。司法や行政、医療などの各種機関や相談窓口、第三者による介入などあらゆる手段を駆使して、目の前の脅威を排除したり避難したりすることが必要となります。そして、直面する職場の問題が、自分の心や体に異常を来してまで、戦ったり立ち向かったりするだけの価値があるかを冷静に判断してください。戦うことや立ち向かうことだけが選択肢ではなく、逃げたり、避けたり、やり過ごすことも選択肢なのです。心と体が健康で元気であれば、何度でもリベンジはできます。自分が守らなければならないものは、「職場の中の自分」だけではありません。所詮、会社生活なんて、長い人生の一部にしか過ぎないのです。安心してください、自分の命を懸けるほどの大した仕事なんて、誰もしていませんから。
希望退職制度や早期退職制度の名のもとに、会社の従業員に対する過度な退職勧奨や、従業員を精神的に追い込む退職強要が問題となっております。従業員が退職しない意思を示しているにもかかわらず、職場の上司や人事部に何度も呼び出されて繰り返し面接を受けたり、社外の再就職支援会社に行かされて、何度も説明を受けさせられるような場合です。また面接の時には、この制度に応募しなければ「解雇する」や「評価を最低にする」とか、「与える仕事がない」や「異動や出向させる」などと言われて、従業員が過去の経験や実績、人格までも否定されて退職に追い込まれるようなケースです。
希望退職や早期退職の制度そのものに関しては、私自身がこの制度を利用して事務所を開設した経験から、人生の選択肢として検討する価値のある、有意義な制度であると考えます。しかし、会社がこの制度を利用して従業員に退職を強要したり、従業員の人格や人権を侵害して精神的に追い込むことを、組織として実施しているような会社の、一体どこに、CSR(企業の社会的責任)やコンプライアンス(法令順守)があるのでしょうか。
この制度によって退職をするかしないかは、本人の意思で判断して決断すべきものです。他人が決めることではありません。ただその時に、会社が下した自分自身に対する評価をしっかりと受け入れることと、逆に、自分自身にとって今後も勤務を続けるだけの価値が、この会社にあるのかをしっかりと評価したうえで、最終的な結論を出すことが必要です。そして最も重要なことは、退職をするにしても、退職をしないにしても、自分自身がこれから「何をするのか」ということなのです。