インフォメーション
発注事業者とフリーランスの取引において、以下の行為類型に該当する
ような場合は、発注事業者のフリーランスに対する「優越的地位の濫用」
(独占禁止法)として問題になります。
(1)報酬の支払遅延
社内の支払手続の遅延、役務の成果物の設計や仕様の変更などを理由として、
自己の一方的な都合により、契約で定めた支払期日に報酬を支払わないこと。
(2)報酬の減額
役務等の提供が終わっているにもかかわらず、業績悪化、予算不足、顧客のキ
ャンセル等自己の一方的な都合により、契約で定めた報酬の減額を行うこと。
(3)著しく低い報酬の一方的な決定
短い納期を設定したため、当該役務等の提供に必要な費用等も大幅に増加し、
フリーランスが報酬の引上げを求めたにもかかわらず、通常の納期で発注した
場合と同一の報酬を一方的に定めること。
(4)やり直しの要請
役務等の提供を受ける前に、自己の一方的な都合により、あらかじめ定めた役
務等の仕様を変更したにもかかわらず、その旨をフリーランスに伝えないまま、
継続して作業を行わせ、提供時に仕様に合致していないとして、フリーランスに
やり直しをさせること。
(5)一方的な発注取消し
特定の仕様を指示した役務等の委託取引を契約し、これを受けてフリーラン
スが新たな機材・ソフトウェア等の調達をしているにもかかわらず、自己の一
方的な都合により、当該フリーランスに当該調達に要した費用を支払うことな
く、当該契約に基づく発注を取り消すこと。
(6)役務の成果物に係る権利の一方的な取扱い
フリーランスが著作権等の権利の譲渡を伴う契約を拒んでいるにもかかわら
ず、今後の取引を行わないことを示唆するなどして、当該権利の譲渡を余儀なく
させること。
(7)役務の成果物の受領拒否
フリーランスが発注に基づき役務の成果物を提供しようとしたところ、業績
不振に伴い当該役務の成果物が不要になったことを理由に、当該役務の成果物
の受領を拒否すること。
(8)役務の成果物の返品
単に役務の成果物を購入した客から返却されたことを理由に、フリーランス
に返品すること。
(9)不要な商品又は役務の購入・利用強制
購入しなければフリーランスとの取引を打ち切る、取引の頻度を減少させる
など、今後の取引に影響すると受け取られるような要請をすることにより、自
己の指定する商品を購入させること。
(10)不当な経済上の利益の提供要請
決算対策のための協賛金を要請し、フリーランスにこれを負担させること。
(11)合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務等の一方的な設定
(12)その他取引条件の一方的な設定・変更・実施
上記に該当しない場合であっても、取引上の地位が優越している発注事業者
が、一方的に取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施する場合に、
当該フリーランスに正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなる
ときは、優越的地位の濫用として問題となる。