インフォメーション
・上場会社の役員や従業員は会社関係者に該当するため、親族の方は
会社関係者に該当します。会社関係者が業務上で重要事実を知った
場合、その会社関係者から未公表の重要事実の伝達を受けた者は第
一次情報受領者に該当します。もっとも、親族に上場会社の役員や
従業員がいるだけであって、その親族から未公表の重要事実の伝達
を受けているのでなければ、インサイダー取引の成立要件を欠いて
いますのでインサイダー取引規制違反とはなりません。
・会社関係者でなくなった後1年以内の者も、会社関係者と同様にイ
ンサイダー取引規制の対象とされています。そのため、在任中に職
務に関して知った未公表の重要事実が売買する時点で未だ公表され
ていない場合は、インサイダー取引規制違反となり得ます。また、
退任後に新たに未公表の重要事実を知った場合であっても、会社関
係者から伝達を受けた場合には、情報受領者としてインサイダー取
引規制に違反することとなり得ます。なお、いずれのケースも「資
金が必要となった」などといった、売買の動機はインサイダー取引
の成否には関係ありませんので御注意ください。
・そして、たまたま社内などで知った場合であっても、その状況によ
っては重要事実を「職務に関して」知った会社関係者としてのイン
サイダー取引と判断されるおそれがありますし、飲み会の席上で知
った場合であっても、情報受領者として規制の対象とされることも
考えられますので、御注意ください。
事業者の皆様には、公益通報者保護法上、事業者内部の公益通報に適切に対応す
るために、下記の義務が課されています。事業者が、こうした体制を整備すること
は、事業者内部の自浄作用を高めるとともに、事業者外部への通報による風評リス
ク等を減少させることにもつながります。
また、公益通報対応業務を行う人(通報内容の調査など公益通報に対応する人)
は、通報者が誰であるかを、特定させる情報(通報者氏名など)について守秘義務
を負います。
従事者を指定する義務
公益通報対応業務を行う人(窓口で通報を受け付ける者や、調査等に従事する
者、是正措置を実施する者等。)であって、業務に関して通報者氏名などを知ら
される人を、「従事者」として指定する必要があります。
従事者には、通報者氏名などの情報について漏らしてはならない、という守秘
義務が、法律上定められており、違反した場合には30万円以下の罰金が科され
ることとなります。
この「公益通報対応業務を行う人」は、公益通報対応業務の全て(窓口での受
付対応から調査、是正措置まで)を行う人だけではなく、その一部(窓口での受
付対応のみ)を行う人であっても、該当します。公益通報者が通報を安心して行
うためには、公益通報に対応する業務のいずれの段階においても、公益通報者を
特定させる事項が漏れることを防ぐ必要があるためです。
従事者を定める際には、従事者となる者の予期に反して刑事罰が科される事態
を防ぐため、従事者の地位に就くことが従事者となる者自身に明らかとなる方法
により定める必要があります。
公益通報に対応するための体制を整備する義務等
事業者は、事業者内から広く通報を受け付けるなど通報に対応する体制を整備
することや、公益通報対応業務の独立性・中立性・公正性を確保するための措置
をとる義務を負います。
(例)
・部門横断的に内部公益通報を受け付ける窓口の設置
・内部規程の策定
・窓口において受け付けた内部公益通報の調査・是正措置の実施
・幹部からの独立性を確保した体制作り
・利害関係者の排除
また、公益通報を躊躇(ちゅうちょ)させることのないよう、公益通報者に対
する不利益取扱い、公益通報者の探索や公益通報者を特定させる情報についての
情報漏洩から保護するための措置をとる義務があります。事業者は、実際に公益
通報者に対する不利益な取扱い、探索や情報漏洩が発生した場合、そのような行
為をした従業員や役員などに対し、懲戒処分などの適切な措置をとる必要があり
ます。
(例)
・公益通報者に対する不利益取扱いの禁止
・公益通報者の探索の防止に関する措置
・公益通報者に関する情報の範囲外共有の防止に関する措置
・内部公益通報対応体制を実効的に機能させるための措置等
加えて、内部公益通報対応体制を実効的に機能させるための措置を取る必要が
あります。
(例)
・従業員等への教育・周知、是正措置等の公益通報者への通知、記録の保管、
制度の定期的な見直しや運用実績の開示、内部規程の策定・運用